業界動向 サーキュラーエコノミー SDGs コンサルタントコラム
皆様、こんにちは。TRCリユースコンサルティングの千馬です。
10月に入り、急に気温が低下し、毎年の事ながら、
鼻炎発症で苦しんでおります(苦笑)
気温の変化に対応して身体をならしながら秋冬商戦に向かって参りましょう。
目次
最近、様々なメディアにも取り上げられるようになったリユース業界ですが、
2021年度のリユース業界の市場規模が約2.7兆円と発表が有りました。
(リサイクル通信様リユースデータブック2022より)
10年前の2011年度が約1.2兆円でしたので、この10年で2.3倍ほど市場が成長していることになります。
人口減少時代の日本において、まだまだ市場拡大している数少ないマーケットかと思います。
昨今のSDGs、サスティナビリティ、サーキュラーエコノミー等の国内外での
拡大の文脈からも、しばらく市場は成長し続けるのは間違いありません。
このような時代背景を基に、既にリユース事業を展開する企業は、
様々な業態、チャネルで切磋琢磨をし、「リユース未経験顧客」の開拓に力を入れています。
「リユース未経験顧客の開拓」はそのまま、リユース業界の拡大に寄与する可能性があることから
重要なテーマとして、弊社でもコンサルティング先企業様と共に様々なチャレンジをしております。
昨今では、一次流通(新品)と二次流通(中古)の垣根がどんどん無くなってきています。
分かりやすい例として、百貨店や地域のNO1ショッピングモール、繁華街の一等立地、エキナカの一等立地
にリユースショップが当たり前のように出店するケースが増えたことが挙げられます。
則ち、百貨店やショッピングモール、商業施設のリーシング担当(テナント誘致)にとって、
もはや「買取・リユース」の業態は無くてはならない業態の1つ(社会インフラ)に認められているということです。
20年前~10年前までは中々リユース企業が出店したくても上記のような好立地に出店は中々出来なかった
経験からすると、素晴らしい社会的地位の向上とも言えるでしょう。
これは昨今のカーボンオフセット、環境負荷低減、SDGsのような消費者の意識変容が大きく変わったからです。
このような背景から、最近では一次流通企業から、二次流通(中古・リユース)への関心が高くなっています。
今までは二次流通(中古)のイメージは…
・汚い
・ダサい
・安かろう悪かろう
・1点1点商品価値がバラバラ
・事業として手間がかかる割に(新品と比較して)大きな事業に育たなさそう…
といったマイナス面を持たれるケースが多く、一次流通事業者は敬遠していたと思います。
ところが、最近のZ世代を中心にリユースのイメージは、
・CtoCで使い慣れてるし、中古に特に抵抗は無い
・リユースの方が、環境負荷を考えるとカッコいい
・1点ものだからこそ、被らない、カッコいい
・ただ古い、チープは嫌だけど、ヴィンテージ、アンティークは非常に興味ある
・意外とリユースで急成長している企業(上場企業も含め)も多い、就職先の候補としても有り
というように若い世代の方のイメージも向上しており、
リユース業界に新しい人財が増えたり、起業して新規事業を立ち上げる方も増えてきています。
一次流通事業者からしても、今までの「大量生産・大量消費」の時代は今後中長期で事業として継続できないコト。
商品を購入してくれる消費者の環境意識が強くなり、今までの製造~販売スタイルでは企業として選ばれなくなるコト。
今まで、あまり時間と手間をかけなかった「二次流通(リユース)」に本腰を入れて取り組むタイミングだと認識しているコト。
企業の社会的責任(CSR)、企業価値向上の観点からも、CO2削減、リユース推進は経営のど真ん中に据えるテーマになっているコト。
が挙げられると思います。
様々な理由があるにせよ、本腰を入れてリユースに関する知見とノウハウを集めようと動かれているのだと思います。
リユース業界で働いている方が、リユース業界に目を向けていると、
・競合が多いから大変
・年々粗利率が下がって大変
・稼げる、儲かる商材が減ってきて大変
・リアルもデジタルもやらないといけないから大変
となりますが、一旦、リユース業界を外から客観的に見てみると、
他の業界と比べればまだまだ打ち手は無限にあるし、そもそも市場も拡大している有望な市場だと感じます。
リユース業界まだ深く関わっていない方からすると急成長で時代背景にマッチ。良い市場だと感じると思います。
リユース業界が今後成長していくためには、
①一次流通事業者と二次流通事業者が手を組んで「リユース未経験顧客を開拓」
②新しい価値観を持った若い世代の柔軟な発想を既存事業と掛け合わせてみる
③リアルとデジタルの融合をしながら、新しいリユースのカタチを創造する
④日本国内のリユースの知見を基に、海外での展開、海外への知見を拡大させる
⑤ローリセールバリューの商品に付加価値を付けて売る力を付ける(回転させる)
このあたりがキーポイントになると思います。
抽象的な視点の話になりましたが、自社の今後の
展開の何かしらのヒントになれば幸いです。
A-DOS 千馬
熊本県出身。元船井総研チーフ経営コンサルタント。 船井総研入社後、住宅不動産業界、小売業界、サービス業界など約20業種のプロジェクトリーダーを務める。 大手SC店長勉強会講師、企業デューデリジェンス業務、戦略策定から実行支援まで経験を有する。 リユースチーム所属時は統括責任者として、総合、古着、ネット買取専門店業態のエキスパートとして全国に繁盛店を生み出してきた。 現在はリアル×デジタルのマーケティングをミックスさせ、新業態開発から既存店の活性化、社員教育まで幅広く対応。 リユース企業店長アカデミーTRPA(Tomorrow Reuse Professional Academy)を主宰。 《主なコンサルティング実績》 ・ リユース専門店(リアル)立ち上げ支援多数(15年以上) ・ ネット型リユース事業開発支援(30社以上) ・ 大手SC店長研修(500店舗以上の商業施設向け) ・ リユース企業デューデリジェンス業務(対金融機関向け) ・ 累計100社以上のリユース企業活性化支援 ・ 累計1000名以上のリユース業店長・マネージャー。店長候補スタッフの育成 ・ 年商1億円規模から年商200億円までのリユース企業の戦略立案及びアドバイス