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いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。TRCリユースコンサルティングの千馬です。本日は「リユースショップにおける最近の課題と売上分析」についてお伝えしたいと思います。
リユース業界は、持続可能な社会を目指す現代において、その重要性が増しています。リユースショップは、不要になった物を再び市場に流通させることで資源の有効活用を促進し、環境負荷の低減に寄与しています。しかし、他の小売業と同様に、リユースショップも人材不足という深刻な問題に直面しています。限られた人員で売上と利益を確保するためには、効率的な店舗運営が求められます。このコラムでは、売上分析、粗利分析、効率分析の重要性について詳述し、リユースショップが強化すべき部門や注力しない部門を明確にする方法を探ります。また、買取強化にはうまくいっているしものの、売場や在庫の鮮度管理に課題を抱えるリユースショップがどのように魅力的な店舗運営を実現できるかについても考察します。
目次
リユースショップにおいて最も重要な要素の一つが仕入れ(買取)です。優れた商品を適正価格で買取ることができれば、売上と利益の基盤が築かれます。しかし、買取強化だけでは成功しません。売場の管理と在庫の鮮度管理が疎かになると、在庫過多や売れ残り商品が増え、店舗の魅力が低下してしまいます。特に半年以上、1年以上の長期在庫が増えていくと、それらの管理コスト、商品劣化リスクが高まり、また長期在庫が新たな買取の呼び水に(買取見本の原則)なってしまい、売れない商品ばかりがお店に集まっていくという負のスパイラルに陥ります。結果、売上の減少や粗利の低下が引き起こされます。以下では、これらの問題点を解決するための具体的な分析手法と施策について詳述します。
利益の残る店舗運営を行うためには売上分析だけではダメです。粗利分析だけでもダメです。優秀な店長、マネージャーは売上、粗利だけでなく、在庫をしっかりと見て把握しています。また、坪効率や回転率や交叉比率(こうさひりつ)を理解し、どこに注力すべきかを見極める必要があります。利益を産み出せる部門=お客様に価値が伝わって強みになっている部門と言い換えても良いでしょう。逆に利益を出しにくい部門=お客様が求めていないもの、価値が伝わっていない部門と言い換えて良いと思います。下記シートを参考に自店の分析を客観的に行ってみることをおすすめいたします。
売上分析を行うことで、どの商品カテゴリ別が売れているのか、どの曜日・時間帯に売上が高いのかを把握できます。これにより、売上を最大化するための戦略を立てることができます。例えば、売れ筋商品を中心に売場を構築したり、特定の曜日・時間帯にプロモーションを行うなどの施策が考えられます。具体的には、以下のような分析が有効です。
これらの分析を定期的に行うことで、売上の傾向を把握し、柔軟な対応が可能となります。
粗利分析を行うことで、利益率の高い商品や部門を特定できます。これにより、利益を最大化するための戦略を策定することができます。例えば、利益率の高い商品を積極的に販売促進したり、利益率の低い商品の取り扱いを見直すなどの施策が考えられます。具体的には、以下のような分析が有効です。
これらの分析を通じて、効率的な利益確保が可能となります。
効率分析を行うことで、店舗運営の効率を向上させるための改善点を明確にできます。例えば、レジ待ち時間の短縮や商品の陳列方法の改善などが挙げられます。また、リアル店舗であれば限られた売場面積をどのように使うかで利益は大きく変わります。限られた売場、限られた人員体制を意識することにより、注力部門、非注力部門を見極めなければなりません。効率分析を行うことで少ない人員でも効率的に店舗運営を行うことが可能となります。具体的には、以下のような分析が有効です。
これらの分析を行うことで、少ない人員でも効率的な店舗運営が可能となります。
在庫管理と売場の鮮度維持は、リユースショップの魅力を保つために非常に重要です。在庫過多になると、売場が圧迫され、顧客にとって魅力的な商品が見つけにくくなります。また、売れ残り商品が増えると、店舗全体の鮮度が低下し、顧客の購買意欲が減少します。店舗の死に筋在庫が増えてくると、その商品が買取見本となり、望まない買取増という負のスパイラルを産み出してしまいます。以下では、在庫管理と売場の鮮度維持に関する具体的な施策について考察します。
在庫過多の原因として、過剰な買取や売れ筋商品の不足が考えられます。これを防ぐためには、適切な買取基準を設けることが重要です。例えば、買取の際に商品状態や需要を厳しくチェックし、売れ筋商品を中心に買取るようにすることが効果的です。また、売れ残り商品の処分方法も重要です。例えば、セールや割引を行って在庫を早期に処分することで、新しい商品の陳列スペースを確保し、店舗の鮮度を保つことができます。
具体的な対策としては以下の通りです。
魅力的な売場を作るためには、商品の陳列方法や売場のレイアウトを工夫することが重要です。例えば、売れ筋商品を目立つ場所に配置したり、カテゴリーごとに商品の配置を工夫することで、顧客が商品を見つけやすくなります。また、定期的に売場をリニューアルし、新しい商品を陳列することで、顧客に常に新鮮な印象を与えることができます。これにより、リピーター顧客の獲得にも繋がります。リピーターのお客様が求めているものは、「新入荷商品」です。お店に行くたびに鮮度の高い商品が並んでいるからこそ、足繁くお店に来店していただけます。買取で入荷した良い商品は積極的に目立つ場所に陳列しましょう。埋もれさせては勿体ないのです。
具体的な施策としては以下の通りです。
少ない人員での運営を成功させるためには、効率的な業務プロセスの構築が欠かせません。例えば、デジタルツールを活用して在庫管理や売上分析を自動化することで、スタッフの負担を軽減できます。また、スタッフの教育やトレーニングを強化し、一人一人のスキルアップを図ることも重要です。さらに、スタッフ間のコミュニケーションを円滑にすることで、業務の効率化を図ることができます。具体的な施策としては以下の通りです。
リユースショップにおける人材不足と効率的な店舗運営は、現代のリユース業界における大きな課題です。売上分析、粗利分析、効率分析を行い、強化すべき部門や注力しない部門を明確にすることで、少ない人員でも効果的に売上と利益を確保することが可能となります。また、買取強化だけでなく、在庫管理や売場の鮮度維持にも注力することで、魅力的な店舗運営を実現できます。
リユースショップが持続的に成長するためには、これらの分析と施策をバランスよく実施し、常に改善を続けることが重要です。これにより、お客様にとって魅力的な店舗となり、業績の向上を図ることができるでしょう。リユース業界全体が一体となって、効率的で魅力的な店舗運営を目指し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。
弊社では前向きな成長意欲の高いリユース企業の経営者が年に6回集うTRCC(Tomorrow Reuse Creative Club)を運営しています。リユース業界の最前線で今、どのような取組みが行われているのか?伸びているリユース企業がどんな考え方でどんな方法で成果を出しているのかを一緒に学ぶことが可能です。無料お試し参加も受け入れておりますので、ご興味のある方はご一報いただければ幸いです。(※お試し参加をお断りするケースもございます。予めご了承ください。)
熊本県出身。元船井総研チーフ経営コンサルタント。 船井総研入社後、住宅不動産業界、小売業界、サービス業界など約20業種のプロジェクトリーダーを務める。 大手SC店長勉強会講師、企業デューデリジェンス業務、戦略策定から実行支援まで経験を有する。 リユースチーム所属時は統括責任者として、総合、古着、ネット買取専門店業態のエキスパートとして全国に繁盛店を生み出してきた。 現在はリアル×デジタルのマーケティングをミックスさせ、新業態開発から既存店の活性化、社員教育まで幅広く対応。 リユース企業店長アカデミーTRPA(Tomorrow Reuse Professional Academy)を主宰。 《主なコンサルティング実績》 ・ リユース専門店(リアル)立ち上げ支援多数(15年以上) ・ ネット型リユース事業開発支援(30社以上) ・ 大手SC店長研修(500店舗以上の商業施設向け) ・ リユース企業デューデリジェンス業務(対金融機関向け) ・ 累計100社以上のリユース企業活性化支援 ・ 累計1000名以上のリユース業店長・マネージャー。店長候補スタッフの育成 ・ 年商1億円規模から年商200億円までのリユース企業の戦略立案及びアドバイス