これまでリユース業界の3つの時流と5つの方向性をお伝えしてきました。
まとめると、
① 粗利率・回転率をコントロールするには、人とシステムで!
② 1億総商人時代には、プロしかできない仕事を!
③ 自分で査定する時代は、買取の情報格差がなくなる!
→販売力に差がつく。(顧客の質と数・モノ売りからコト売りへ)
となります。
特に、既存の中古品市場は約2兆円と言われていますが、不用品の潜在市場は7兆~37兆円あるとも言われています。現状の市場の状況をみますと、この2兆円の中でのシェア争いや差別化の苦しい中で戦ってしまっていると感じるのです。ある調査によるとリユースショップを利用していない人は、日本全人口の60%近くいらっしゃいます。
では、なぜ?この60%の人はリユースショップを利用していないのでしょうか?
私の仮説は、マズローの5段階欲求説で説明できるのではないかと考えています。
モノのマーケット(物質的欲求)は既存の2兆円、利用率40%で、コトのマーケット(精神的欲求)が未経験マーケットの60%ではないかと考えています。
言い換えると、社会的欲求(つながり・共感)や承認欲求(わかってくれている)や自己実現欲求(〇〇してあげたい。)を満たして上げられていないために、60%が利用していないのではないかと思うのです。逆に言えばこの精神的欲求を満たしてくれるようなお店やサービスを顧客は望んでいると思います。価格や品揃えばかりに目がいってしまい、顧客の本当の欲求が見えていない状況にあるのではないかと思うのです。
この60%の未経験顧客の開拓ができているリユース企業は業績が良いと思います。そして、未経験顧客にリユースがあるライフスタイルの魅力を伝え、日本に眠るストックマーケットを掘り起こすのがリユースショップの大きな役割だと思います。このストックが市場に出て流通することで、モノが流動化し、経済を動かす原動力にもなると思います。日本では、人口減、超高齢化社会、などの社会問題も数多くありますが、このストックマーケットを流動化し、モノとお金を動かすことで経済を回す使命があるのが、リユース企業ではないでしょうか?
ぜひ、3つの時流と5つの方向性を再度、お読み頂き、皆様の今後の方向性の参考にして頂ければ幸いです。
京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。