5つの方向性の最後「モノからコトへのシフト」について解説させて頂きたいと思います。まず、前提となるのが、今の生活者の意識の変化です。モノ余りの時代と言われて久しいですが、消費者が求めているのは、“モノの豊かさ”ではなく、“心の豊かさ”という調査結果(下図)があります。これは、高度成長期にテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの三種の神器からマイホーム、マイカーなどモノを手に入れることで、幸せになれるという価値観が大半を占めていた時代から、いやモノは手に入ったけど、それだけでは幸せになれないという価値観に変化してきました。がしかし、リユースショップを含め、お店側は商品やサービスをどうやったら売れるだろう?ばかりを考え続けています。消費者側はもうモノだけを手に入れたくないそれよりも、もっと心の満足を求めているのに、お店側は、モノやサービスを一生懸命売ろうとしているという所に大きなギャップが生じているのです。では、そのギャップをどのように埋めていけばいいのでしょうか?
それは、「人はモノやサービスは欲しくない。モノやサービスが、どんないいコトをもたらすのか?」という視点に立って考えることではないでしょうか?モノ起点では、どうしても“どう売るか?”を考えてしまい、その結果、品揃えや価格競争になってしまう。そしてそのシェア争いや差別化など競合他社と戦って、疲弊して売れなくなる。そもそも商売とは、競合と戦うことではなくお客様を喜ばすことに原点があります。今のビジネス環境は、いかに競合他社と差別化して他社より優位に立てるか?に視点を置き過ぎています。競合を意識するあまり、本来のお客様が見えていないように思います。モノからコトへのシフトというのは、もう一度、競合ではなくお客様を見よう!ということです。お客様という“人”を見て、その人の持っている興味・関心を深めたり、不安や不満を解決することで役立った結果、モノやサービスが売れるという考え方を持つ事が大切だと思うのです。
“どう売るか?”から“どう役立つか?”の視点のシフトなのです。
・あなたは、過去どんな経験・体験をしてきて、こういう人に喜んでもらいたいと思っていますか?
・自社の得意分野を世の中で必要としてくれているのは、誰ですか?
・あなたの一番喜ばせたいお客様は誰ですか?
もう一度、原点に戻って自社の方向性を考えてみましょう!
京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。