第12回 リユース企業に必要なヒューマンシフト①存在意義 福本晃
先月、7月25日に年に1回のリユース業界経営戦略セミナーを開催しました。今回お伝えしたテーマが、リユース企業にとって必要なデジタルシフトとヒューマンシフトというテーマでお伝えさせて頂きました。今回は、ヒューマンシフトの①ということで、リユースショップの存在意義のシフトについてお伝えしたいと思います。
まず、背景にあるのは、CtoBtoCのビジネスモデルの中で、CtoCのマーケットが約7000億市場に膨らみ、中抜き状態になり、真ん中に挟まっているBの存在意義が存在意義が問われている状況です。結論から言えば、買取客に対する価値提供がお金だけでは、喜ばすことはできない。プラスαの価値がないとだめだし、販売客に対してもただ単にモノを渡せばいいというのも通用しない。このプラスαが必要だということです。プラスαは色々ありますが、我々は、気づき・驚き・発見が大事だと思っています。
要するに今までの、モノとお金だけをやり取りする役割は終わっていくと考えています。
では、どのようにそのプラスα(気づき・驚き・発見)を考えていったらいいのか?ということになります。
これは、まさに各リユース企業の“理念”の部分に立ち戻らないといけないと思っています。
「そもそも何のために、リユース事業をやっているのか?」
「リユース事業を通じて、どんな世界を創りたいのか?」
という問いです。多くの会社は、理念に「不要と必要をつなぐ」ということをあげられています。この理念=目的であれば、CtoCの成長で個人間売買により、多くの不要が必要につながっている状況は、その目的は達成されてきているという点で、喜ばしいと思うのです。それが違うのだとすると、その目的(理念)はもう手段化されているのではないかと思います。社会が成熟化すればするほど、目的が手段化されていき、次の目的が求められてきます。今、リユース企業は、この次の段階の目的が求められていると思うのです。
要するに、「不要と必要をつなぐ」が目的で、手段がリサイクルショップもあればCtoCもあり、同じ目的をもった同志ということになります。それが真の目的であれば問題ありません。がしかし「不要と必要をつなぐ」というのを手段とすれば、それは「なんのために?するのか?」という問いになります。実はここが問われているのが現状のリユース企業の最大の課題だと思うのです。
「不要と必要をつなぐことで、どんな社会を創りたいのか?」
「不要と必要をつなぐことで、どんないいコトがあるのか?」
「不要と必要をつなぐことで、誰を喜ばせたいのか?」
が真の問いです。
これらが、理念という企業の土台の部分になり、そこに共感、共鳴する社員やお客様が集まってきます。理念を利益に変える手段として、ビジネスがあります。ここをぶれずにしっかり持っている企業が求められているのです。
京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。