前回までに、集客のデジタルシフト、存在意義のシフトと順番に解説していきました。
第3回は、買取販売のデジタルシフトについて、解説していきたいと思います。
ここ数年C2C市場の台頭や顧客のリテラシーの向上によって、買取金額(二次流通の相場)が明らかになってきました。そしてこの買取相場の上昇の流れは、まだまだか加速すると考えます。原価率が上がっていくということは、従来の高粗利率低回転のビジネスモデルでは、買取が集まらず事業を維持できなくなるというわけです。実際に多くの総合リユース店舗は、買取量自体は減っていないものの、買取単価が下がり商品化の工数が増えて現場が疲弊しているように感じます。お客さんが、良い物はフリマアプリに。単価の低い物はリユースショップにという流れが出来つつあります。これは非常に危険な傾向です。
この現状を打破するための施策の1つとして、在庫回転率を上げることが効果的です。最近お会いしている業績好調なリユース企業は、在庫回転率が数日〜1ヶ月程度のケースが非常に多いです。例えば、粗利率70%の年回転率2回転と、粗利率35%の年回転率4回転は、在庫金額が同じであれば粗利金額は同じですが、実際にどちらが今後生き残っていくかといえば答えは明白です。もちろん、買取金額だけがお店を選ぶ基準ではないですが、買取金額が2倍高いリユースショップがあれば、多くの買取はそちらに流れるでしょう。販売の面を取っても、売場の鮮度が上がり購買率の向上も期待出来ます。
では、回転率を上げる方法としては、①店頭の鮮度管理をルール化し着実に遂行すること②店頭とのEC併売率を上げ、EC販売比率を向上させること の2つがあります。①は、多くの企業がこれまでチャレンジしてきたと思います。②のECに関しては、まだまだ道半ばの企業が多い印象です。リユースの市場規模は、店舗が50%ネットが50%ですが、多くリユース企業のEC比率は10%程度です。ECを上手に活用することが、次世代のリユースショップのためのKEYになるはずです。
そして回転率が高いということは、それだけ買取の答え合わせを多くできるというわけです。回転率と実粗利率のデータを元により正しい買取を行うことができ、高い買取金額を支払うことも可能になってきます。しかし、多くの総合リユースショップを見ていると、そもそもPOSレジが入っていなかったり、POSレジが入っていても単品の回転率管理がきちっと出来ておらず、想定売価と想定回転率を読み違えて買い取りをし、不良在庫を積み重ねていっているように感じます。
リユース業において、販売実績と買取業務の連動は永遠の課題ですが、アナログでやらないといけない部分をデジタルシフトで減らすために、システムを活用していくというのが今後のリユースの目指すべき方向性になると考えます。
元船井総合研究所経営コンサルタント。小売・EC業界業界に6年以上携わり、国内リユース事業・輸出事業・輸入事業・OEM商品制作販売事業など ゼロから年商4億の事業に成長させた経験を持つ。WEBマーケティングとEC販売を得意とし、自身もリユース業界をテクノロジーで支援する株式会社NOVASTOの代表を務め、業界の最先端のノウハウを追い求めている。現在のクライアントは、総合リユース・買取専門店・中古工具専門店・ネット型リユースなど多岐にわたる。。