マーケティング 経営者の言葉 お知らせ コンサルタントコラム
皆様、こんにちは。TRCリユースコンサルティングの福本です。
コロナ禍の中でも、業績絶好調の質&買取専門店を経営されている社長さんからお聞きした事例です。
そのお店は、高齢富裕層をターゲットをされていて、終活サポートや生前整理にも力を入れられています。貴金属高騰や時計やブランド品の相場高騰もあったので、買取金額は上がっていて当然と捉えて、コロナ前の買取客数との比較で、伸びているか伸びていないかを重点指標として経営をされています。
現状の業績は絶好調で、驚くのは新規客の30~40%が知人からの紹介で集客されている点です。一般的な買取専門店の場合、新規集客のうち、紹介でこられるお客さんの割合はせいぜい10%以下というお店がほとんどの中で、そのお店は30~40%もあるというのです。
その理由は、数年前から力を入れられている接客レベルの向上にあるとおっしゃいます。
この接客レベルという定量的に捉えにくい指標を、お客様感動アンケートを使って、一人一人のお客様が、どのレベルまで満足いただけたか。もしくは感動レベルまでになったかを、大切な指標として実践、検証されていらっしゃいます。
アンケートの項目は、大きくは4項目あり
①買取金額
②時間
③接客
④査定のアドバイス(持ってきた商品以外の)
となっています。
さて、皆さんに問題です。
「①~④のどの項目の満足度が高ったお客様が、リピート行動や他のお客様への紹介につながる確率が高いと思われますでしょうか。」
一度考えてみてください。
さて、いかがでしょうか。①の買取金額に満足を得たお客様でしょうか?もしくは、②時間で、テキパキとスピーディーさに満足が高かったお客さんでしょうか?はたまた、③の接客が良かったお客さんでしょうか。
答えは、④査定のアドバイス(持ってきた商品以外の)に満足度が高かったお客様が、その後のリピート行動や他のお客様への紹介につながる確率が圧倒的に高いという結果が出たようです。
皆さんはこの結果について、どう思われるでしょうか。
私の意見は、①~③の項目については、ある意味満足して当り前になっている項目ではないかと考えました。どのお店でも①~③はある程度、気をつかってそのお店なりに、色んな工夫や努力をされているのではないかと思うのです。がしかし、④の持ってきた商品以外の査定のアドバイスというのは、なかなかそれに至っていないケースが多いのではないかと思うのです。
持ってきた商品については、一生懸命に真贋や相場をスピーディーに調べ、お客様にわかりやすいように、査定結果の説明をされていらっしゃると思いますが、お持ち込みになれれていない商品の査定のアドバイスまでは、いっていないケースがほとんどだと思います。
では、なぜ?持ってきていない商品の査定のアドバイスまでできるのでしょうか?
一度考えてみてください。
私の意見は、“お持ち込みになられた理由、そもそもの背景が聞けていないから”というのが
答えです。「家の片付けをしていたら、たまたま出てきたから」とか「70歳をむかえて、そろそろ生前整理をしようと思って、まずは昔買ったけど最近は使っていないバッグ類を処分しようと思って」や「旦那さんがなくなり、その片付けの最中なの」などの、お客様が来店された理由や背景を聞いているから、まだ処分していないモノの話になり、その売却方法や大体の相場、買取が高い業者などの情報を、提供することができると思うのです。
要するに、相手の興味関心事や課題やお困り事を知り、それを解決するような情報がお客様に感動をつくっていると思うのです。
まさに、商売の原点であるお客様に役立つ事ができているか?どうか?という部分が、リピート行動や他のお客様への紹介につながっているのです。
また、このリユース企業ではこんな事例もあるといいます。A店の施策はとにかくお客様に寄り添い、お客様の課題解決が自分達の仕事だと認識し、自分達でできる事は何でもやるという方針で、お客様対応をたくさん実施されました。例えば、出張買取時にブランドバッグや家電製品などの買取依頼を受け訪問し、査定が終了した後に、お客様から「実は、この大きいタンスを捨てたいのだけど重くて大変なのよね」とふとおっしゃった時には、「うちでよろしければ、ついでなのでお運びして廃棄しておきましょうか。」とお答えして、実際に処分してあげるといったような、本来のサービスには含まれない部分まで行われているそうです。
それに対し、B店の施策は、買取成立したら1000円のクオカードプレゼントなどの、ある意味ドーピング的な施策を継続されていらっしゃったそうです。
1年後、このA店とB店の業績を比較すると、明らかにA店の業績に軍配が上がったそうです。
お客様は、一定の期待を持ち来店されます。そして期待ぐらいの価値を提供してもらうと満足して頂けます。逆に大きく期待を下回ってしまうと不満足になってしまいます。そして、期待値を大きく上回ると、感動され「また、あなたのお店に持ってくるわ!」や「今度、うちの家に出張買取に来てもらえますか?」とリピートされたり、「私の知り合いも、終活中だから、紹介させてください」などの反応をもらうことができます。
やはり、お客様との信頼関係の構築をどれくらいできているか?そのためには、お客様の興味関心事、お困り事や課題を知って、それに対して何ができるか?を積み重ねていくことが、時代は変わっても、変わらない本質的な商売繁盛のポイントではないでしょうか。
メルカリ市場の影響、FCチェーンの急増、SNSや動画などの情報伝達手段の多様化など、目まぐるしく、外部環境は変化していっていますが、お客様の課題解決による信頼関係の構築という本質的な部分は、変わっていないと思います。
ぜひ、お読みのリユース企業の皆様は、改めて
「自分たちの顧客は誰なのか?」
「その顧客はどんな興味関心事、お困り事や課題を持っているのか?」
「その課題に対して、自社や自店でできることは何か?」
をしっかり考えてもらえらと思います。
そして、その考えるヒントは現場にたくさんあると思いますので、現場の声、お客様の声を改めて大切にしていってほしいと思います。
京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。