前回は、消費者心理の変化その1ということで、コロナの影響によって、“貢献の欲求” と “生存・安全の欲求”に2極化しているという事をお伝え致しました。
今回は、更に違う視点から今後の消費の変化についてお伝えしたいと思います。
大きくキーワードは3つです。
目次
皆さん、多かれ少なかれ今回のコロナ騒動で、自分の健康状態を考えられたと思います。通常、ウィルスに感染しないようにするには、自分の体の免疫力を上げておこうと、多くの皆さんが考えたと思います。「どんな食事が免疫力を上げるのか?」「どんな食べ方が免疫力を上げるのか?」また、「どんな運動をすれば、免疫力が上がるのか?」
運動、食事、睡眠、笑いなど、自身の健康をケアする意識の向上である。
これを既存のビジネスに掛け合わせて考えてみたい。
例えば、飲食店だとわかりやすいが、テイクアウトなどで、免疫力を上げる食材や食べ方などの知識を盛り込んだお弁当。
他の例では、私の自宅の近くにある学習塾があるが、学習塾×レストランという業態をコロナ以前から運営されていた。夜遅くなってしまう塾生に、本格的な食事を提供する珍しいビジネスモデルだ。この塾もどう変化させるかというと、シンプルに学習塾×免疫力UPレストランだ。本格的な美味しい食事を提供する塾というコンセプトから、免疫力が上がり、より健康的で学習効果も上がる食事を提供する塾に変化させてはどうだろうか?
リユースショップでは、運動の切り口で、自宅で気軽にエクササイズができる運動器具の販売だ。フィットネスバイクや筋トレ用のダンベルのような本格的な物から、卓球、バドミントン、など遊びとしての運動用品を、売場で「免疫力をアップするために、楽しく運動しよう!」というコーナー編集で訴求できる。この時に大切なのは、売場を編集することと、顧客との接点作りである。接点作りとは、顧客との会話である。
こういった自店がお客様の興味、関心を想定して売場を編集し、反応したお客様との会話だ。「何か少しでも運動しないといけないな~とちょうど考えていた!」とか「何だかフィットネスクラブにいくのが気がひけて、自宅で気軽にできるコトを探していた!」など顧客の生の声をちゃんと聞くことができるかが肝になる。理由は、反応があった理由、反応がなかった理由を確認できるからだ。お店の地域や客層によって、その顧客の持っているコト(興味、関心、不安、不満、不便)が違う。その顧客の中のコトを直接確認し、次に活かす事が大切だ。
在宅ワークやテレワーク、大人数での飲み会禁止、人が集まる状況での様々なイベントの中止など、普段とは違う生活が2~3ケ月は続いている。多くの人は、その生活に適応しようと心の底から楽しめていないのではないだろうか?
エンターテイメントがほぼオンラインに移行するか、中止の中、それを趣味にしている人にとっては、生活の中での楽しみが半減している。
そのようなストレスを解消する商品やサービスが求められていく。
具体的には、生活の変化に伴う、環境作りのマーケットだ。在宅時間が増えて、家の中の様々な環境を整備しようという人が増えている。
家具販売のニトリさんが好調なのも、家でのデスクワークをより快適にする環境作りだったり、リビングで過ごす時間が増えてレイアウトや収納を改善したい人や、睡眠の質を向上させようと寝具関係を買い替えたり、自炊が増えキッチン環境を変えたい人だったり、お店やオフィスも除菌、抗菌、喚起、ソーシャルディスタンスを保つためのレイアウト変更をしたりしている。要するに“環境作り“のマーケットである。
これは、家、店、会社などあらゆる“現場”で行われている。もう少し大きくみると、地域、社会、地球の環境作りマーケットである。こういった環境を作るマーケットが今後、大きく伸びると思う。どの分野もこの“環境作り”のマーケットが必要になるのではないだろうか?
在宅時間が増えると、家族と同居されている方は、必然的に家族とのコミュニケーションが増える。配偶者、お子さん、おじいちゃん、おばあちゃんと同居している人とのコミュニケーションだ。特に、学生のお子さんと同居されている方は、学校が再開されるまでは、圧倒的にコミュニケーションが増えたと思う。自宅でのコミュニケーションをより豊かにするために、例えば家で一緒にゲームをしたり、同じ映画や漫画を読んだり、家の近くで運動したりなど、共通の体験や話題をどう創りだすか? という事を考えられたのではないでしょうか? 私の家でも、登山をしたり、バトミントンをやったり、キャッチボールをしたり、「鬼滅の刃」を読んだりした。これは運動という観点もあるが、コミュニケーションのために選択した行動である。伝わっているだろうか?
また、在宅ワークやリモートワークによって、様々なコミュニケーションがオンライン化した。そのオンラインコミュニケーションをより快適なものにしようと、マイクやカメラ、照明、ディスプレイなどのハード機器の消費が増えている。
ただし、今後、オンラインでのコミュニケーションは、常設の選択手段となると思うが、逆にリアルコミュニケーションの価値が再度見直されるようになると考えている。
初対面の人とオンラインだけのつながりで、どこまで人間関係が構築できるか?という問いである。問題ないという人もいると思うが、なかなか難しいという人も多くいると感じている。ある程度人間関係がある人とのオンラインコミュニケーションは、相手の考えや思考がある程度予測できるため、スムーズだが、初対面の人とのコミュニケーションは、難易度が高い。オンラインで人間関係をよりスムーズに構築するノウハウは、これから求められると思う。逆にリアルは、会う理由やリアルじゃないと創り出せない価値がないと、集まらなくなる。こういったコミュニケーションは、お店でのお客様との会話、ビジネス上の商談、社内会議など、たくさんの場面で問われてくる課題であるし、またそのソリューション(改善策)は、より価値を持ったものになるのではないかと思う。
以上、免疫力UP(健康)、ストレス解消(環境作り)、コミュニケーション(人間関係)の3つは、今後の消費のキーワードになると考えている。今の既存ビジネスにこれらのキーワードを掛け合わせることで、新しい需要を創造していくことが大切だと感じている。
コロナの影響で、人々の価値観が変化しているこの時代に、既存のマーケットは縮小している。逆に言うと、新しい需要(マーケット)が増加している。その新しいマーケットを創造する千載一遇のチャンスだと捉えてみると、可能性しか感じないのではないだろうか?
一度、しっかり考えて頂きたいテーマである。
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京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。