現在、メルカリなどCtoCの影響を最も受けている1つのマーケットが、中古子供服の分野です。子供の成長ですぐに服が小さくなってしまうので、CtoCマーケットでの取引が多いのが、子供服です。その影響も大きくあり、既存のリユースショップでの中古子供服の売上は、伸びていないのが現状です。そんな逆風の中で、中古子供服専門店で伸ばされている会社を解説したいと思います。そのお店は200坪クラスの大型店を3店舗展開されていらっしゃいます。
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特徴は、同社のアンケート結果によるとリユース初めてのママが顧客の85%であるという事実です。通常、リユースショップの顧客は、業態にもよりますが、80~90%のお客様がリユース好きで、リユースが初めてのお客様の比率は、10~20%が一般的です。そんな中85%というのは、驚くべき数字だと思います。また、このリユース未経験客の掘り起こしというのが、以前からリユース業界の共通の課題だとお話してきました。リユース各社も7兆~37兆ある潜在的リユース市場をどう掘り起こすか?を常々考えられていると思います。
では、どうしてこのお店はこんなにも未経験顧客を開拓できているのでしょうか?
1つ目は、シンプルですが店舗の圧倒的クリンネスがあります。同社のお客様は新品の子供服店と間違えて、買って帰られるお客様もいらっしゃるとお聞きしています。特に、おもちゃなどは、目を見張るくらい綺麗にされていらっしゃいます。「自分の子供が口に入れても大丈夫だと思うレベル」が商品クリンネスの基準だそうです。リユース未経験顧客には、まだまだリユースショップは清潔ではないという印象が強い中、同社はそれを払拭するお店作りを徹底されています。
2つ目は、「子供服専門店」ではなく、「子育て専門店」というコンセプトにあると思います。子育て中のママは、どんな不安、不満、不便があるのか?という事を、対話の中で察知し、どんなコトが子育てママのお役に立つのか?というコトを実践されています。例えば、インスタライブによる売場紹介では、店舗スタッフさんが外出しにくい子育てママのためのお役立ち情報などを配信されていらっしゃいます。
3つ目は、「子供達の未来のために捨てない社会」という同社の理念に共感したスタッフさん、お客様が集まってきている事です。例えば、買取の動機が、“高価買取”ではなく、子供達に“捨てない”という事を体験してもらうために、ママと一緒に買取品を持ってきてもらう事をおすすめされています。この理念に共感したリユース未経験顧客集まってきているのだと思います。
大きく3つ未経験顧客を開拓するポイントをお伝えしました。リユースショップの“本来の存在意義”と、“子育て”という付加価値の掛け算によって、未経験顧客を開拓されている好例だと思います。
今こそ、リユースビジネスの“本来の存在意義”と“付加価値”を見直す事から、考えてみませんか?そこから、広がる大きな希望がワクワクする未来につながると考えています。
京都市出身。流通小売業界、住宅不動産業界、通販業界、飲食・食品業界のコンサルティングを経て、2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。元船井総研上席コンサルタント。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。後、2017年2月に船井総合研究所を退職し、2017年3月にコンサルティング会社(株式会社A−DOS)を設立する。 現在、「企業の”あり方”と”やり方”をつなげて、”理念”を”利益”に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。